魚と女の子のイラスト

本田照男のミニコラム

――店名の由来

きくらげは漢字で“木耳”と書きます。本来、絵は目で見るのでしょうが、絵の中にある音を耳で聴いて欲しいと言う願いがありまして、きくらげ(木耳)という名前にしました。僕の友人の女性が付けてくださいました。

僕は西伊豆の仁科というところの出身ですが、川の音、海の音、山の音、風の音、いろんな音がありました。子供のころ感じたいろんな音が耳に残り、僕の絵がある様に思います。

僕の田舎にある安良里という町では、昔、イルカの追い込み漁がありました。今でも強く印象に残っています。そのためイルカの登場が多いと思います。はたまたパブロ・ピカソの愛犬がダックスフンドで――とてもすばらしい目をしている犬ですが――僕は写真で見て、いい犬だなあ(すばらしい)と思い、ダックスフンド(名前はランプ)を度々モチーフにしています。

(2014.01)

――突然の病

38才のときに、突然、大動脈弁閉鎖不全症という心臓の病気になりました。本当に当時はむずかしい手術であった様ですが、岡村記念病院の岡村宏院長先生(当時)に人工弁の手術をしてもらいました。(ベントール手術という名前です)

岡村先生からは「君は死ぬかもしれない」と告げられていました。でも岡村先生をはじめ、鬼頭先生・坂本先生のおかげで助かりました。助かった日から一日一生のつもりで毎日毎日、祈る様に生きてきました。一日一日の感謝が、絵が生まれた根本になっている様な気がします。生きている、今存在している事への感謝の絵に思います。

(2014.01)

――料理も絵も

料理も、絵を描く事も、同じに思います。 お客様に魂を込めて、料理を作る。又、絵も自分の魂を込めて一線一線を描く。 僕は長い間の料理人の生活の中でも、お客様の健康と安全を祈りつつ、命懸けで料理を作ってきました。本当に今、ふりかえってもそんな風に思います。みなさんどんな職業の方にしても同じ気持ではないでしょうか。

つたない素人の絵ではありますが、一生懸命絵を描きました。そういう点では、本当に自分で言うのもなんですが、純粋なものだと思います。 そして絵を描く様になって回りの作家さん達が貧乏な中で一心不乱に絵を描いている姿に感動しました。絵では食えない人が多いという事にも気が付きました。そんな中で画友みんなが、「本田君ガンバレ」とエールを送ってくれました。 本当にうれしい、うれしい事でした。悲しい事、苦しい事、つらい事の多い今日日、みなさん絵を描きませんか。 何か描く事でこんな厳しい世の中で生きてゆく少しの勇気と希望が得られると思います。

中には絵を描けないと思っている人もいると思います。でもともかく何か絵を描いてみて下さい。なんとか描けるものです。本当に楽しいです。犬でも、ネコでも、風景でも、リンゴ、みかんでも、花でも。心の中だけは絵を描く事でHappyになると思います。僕は素人ですが、絵を描くことには気持ちを穏やかにする要素があると思うのです。みなさん、絵を描きましょう!

(2014.01)